「不思議アート」の原理と作り方
「不思議アート」は、ごく一部がそれぞれ異なる、5.6枚の短冊状の絵柄を横に
並べて作ります。
ステレオグラムと呼ばれる手法で、原理は画面が浮き出て見える立体映画
(3D=三次元=映画)と同じです。
私たちが物を立体としてとらえることができるのは、左右の目で少し違った角度から
対象を見ているからです。
これを逆にし、両眼の視差と同じ写角で撮影した2本のフィルムをスクリーンに
同時上映したのが立体映画です。
観客は二重にダブった画面を左右の目で見分けられるよう、特殊な眼鏡をかけます。
「不思議アート」では、コンピューターを使って一枚の短冊の絵柄を縦1378、
横360の点で構成、隣同士の絵柄を微妙に変えてダブリを演出します。
眼鏡なしに見るための工夫が、注意書きにある「2つの点が3つに見えたら……」で、
この時、左右の目はそのまま平行に絵を見ていることになります(イラスト参照)。
これを平行法と呼びますが、その簡単な実験をやってみましょう。
市販のチューインガム数本を短冊に見立てて3、4センチ間隔で平行に横に並べます。
「不思議アート」と同じ見方をして中の1枚を右に動かすと、これが奥に引っ込み、
右隣の1枚が手前にせり出してくるはずです。
同様に1枚を左に傾けるとこれの上の部分が奥に、右隣のが手前に傾きます。
ところで「出ているはずの部分が引っ込んで見える」とのお問い合わせが時々あります。
これは平行法とは逆に、左の目で右、右の目で左を見ている(交差法と呼ばれます)
ためで、慣れれば平行法でも見ることができます。
一般の方が製作トライされるには、コンピューターを使わないと難しいでしょう。
(回答:「不思議アート」作者、久納ヒロシさん)